公開日 2024年4月3日
最終更新日 2024年11月15日
近年、地方における議員選挙で無投票当選の増加傾向が強まってきており、特に、小規模市町村においては、無投票当選とともに選挙における定数割れが生じるなど、議員のなり手不足の問題が深刻なものとなっています。
住民の身近であるべき地方公共団体の議会において、議員のなり手不足が生じている状況は、住民自治の根幹に関わる深刻な問題であり、また、このような状況は議会の意思決定に多様な住民の意見を反映させることができず議会がその求められる役割を十分に果たせなくなることを意味するものでもあります。
豊後大野市議会においては、平成17年の町村合併後の選挙以降、無投票当選及び定数割れが生じたことはありませんが、今後は、人口減少や高齢化の進行も相まって、そのような状況になることも十分危惧されており、全国的な流れの中で、豊後大野市でも議員のなり手不足に対する検討を進める必要性が生じてきています。
そのような中、令和5年5月に市議会から提出されました「豊後大野市議会議員および豊後大野市長の選挙における選挙運動費用の公費負担(選挙公営)制度について」の要望書により、立候補しやすい環境整備の一つとして公費負担制度の制定について選挙管理委員会で検討協議し、令和6年3月議会において「豊後大野市議会議員及び豊後大野市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例」が制定されました。
この制度を活用することで、ひとりでも多くの政治に関心を持つ多様な人材が、お金を気にすることなく積極的に選挙に立候補できるようになると期待しています。
選挙運動の公費負担制度とは
立候補しようとする人の負担を減らし、資産の多少にかかわらず立候補や選挙運動の機会均等のため、一定の金額を限度として、国や地方公共団体が候補者の選挙運動費用の一部を公費で負担する制度です。
なお、費用は候補者に支払われるのではなく、あらかじめ候補者と契約した業者等を候補者が市選挙管理委員会に届出し、当該契約業者等が市へ請求する仕組みとなっています。
令和7年4月執行予定の豊後大野市議会議員選挙及び豊後大野市長選挙から、選挙運動の公費負担制度を導入します。
公費負担制度の種類と負担限度額
市が負担する費用の種類と負担限度額は、次のとおりです。負担限度額を上限として実費を市が負担しますが、負担限度額を超える分は、候補者の自己負担となります。
ただし、立候補の届出をする際の供託額が没収される得票数であった場合は、公費負担を受けることができず、かかった費用全額が候補者の自己負担となります。
1 選挙運動用自動車の使用費用
(1) 一般運送契約 道路運送法に規定する一般乗用旅客自動車運送事業者との運送契約である場合
各日について 64,500円 ※同一の日については1台に限る。
(2) その他の契約(個別契約)
自動車借入契約 各日について 16,100円 ※同一の日については1台に限る。
燃料供給契約 選挙運動の日数 × 7,700円
運転手雇用契約 各日について 12,500円 ※同一の日については1人に限る。
※(1) と (2) の契約のうち、候補者はそのいずれかを選択します。
※対象となる日数は、選挙運動期間中の日数(届出日から選挙期日の前日)のみ
(選挙が無投票となった場合は届出日のみ)
2 選挙運動用ビラの作成費用
■ 1枚あたりの単価限度額 7円73銭
■ 配布できる枚数
市議会議員選挙 4,000枚(枚数の上限)
市長選挙 16,000枚(枚数の上限)
≪参考≫ ビラ作成費用にかかる限度額
市議会議員選挙 7円73銭(単価限度額) × 4,000枚(枚数の上限)= 30,920円
市長選挙 7円73銭(単価限度額) × 16,000枚(枚数の上限)= 123,680円
3 選挙運動用ポスターの作成費用
■ 1枚あたりの単価限度額(1円未満の端数は1円に繰り上げ)
( 541円31銭 × ポスター掲示場の数 + 316,250円 ) ÷ ポスター掲示場の数
≪参考≫ ポスター掲示場の数が 231か所 の場合
1枚あたりの単価限度額 ( 541円31銭 × 231か所 + 316,250円 ) ÷ 231か所 = 1,911円(1円未満繰り上げ)
1,911円(単価限度額)× 231か所 = 441,441円
4 選挙運動用通常はがきの郵便料金
■ 選挙運動用通常はがき 無料
■差し出しできる枚数
市議会議員選挙 2,000枚(枚数の上限)
市長選挙 8,000枚(枚数の上限)
※指定された郵便局の窓口にて所定の表示を行う手続きが必要となります。
公費負担結果の情報公開について
選挙運動の公費負担は、公職選挙法で認められている制度であって、市民の税金などから支出されることから、その透明性や公平性の確保は大変重要です。
よって、公費負担の結果については、市ホームページ等で公表いたします。
公費負担制度にかかるQ&A
Q 選挙運動費用は候補者が自分で負担するべきではないですか?
A 選挙運動費用を候補者自らが負担している現在の状況は、資金力のある候補者が選挙で有利になる可能性があります。志は高く有能でありながら、経済的な理由で立候補を断念される方があれば、それは市にとって大きな損失です。立候補しやすい環境整備を図るためには、立候補する障害を取り除く方法が必要と考えます。
Q 公費負担の対象者を新人や所得の少ない人に限ってはどうですか?
A 公費負担制度は、公職選挙法に準じて市が条例として定めることが必要となっています。公職選挙法では、選挙の公正や候補者間の選挙運動の機会均等、平等が重視されています。したがって、候補者の所得や資産などで公費負担の対象者を限定することは、公職選挙法の趣旨から適切でないと考えます。
Q 県下市町村の制定状況はどうなっていますか?
A 令和6年3月現在で制定している市町村は、大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、豊後高田市、宇佐市、日出町の8市町となっています。
Q 候補者1名分の負担限度額はいくらになりますか?
A 選挙自動車の使用費用、ビラの作成費用、ポスターの作成費用を全て利用した際の負担限度額は次のとおりです。
■ 市議会議員選挙
自動車の使用費用が一般運送契約の場合 ~92万4千円程度
自動車の使用費用が個別契約の場合 ~72万7千円程度
■ 市長選挙
自動車の使用費用が一般運送契約の場合 ~101万7千円程度
自動車の使用費用が個別契約の場合 ~82万円程度