公開日 2016年12月28日
最終更新日 2016年12月28日
本日付の大分合同新聞の朝刊の論説に豊後大野市の再生可能エネルギーを中心とした取組が紹介されました。
「地域資源を活用した持続可能な自治体づくり」を市民の皆さんと進めてまいります。
以下、大分合同新聞社平成28年12月28日(水)朝刊 論説記事
【豊後大野市の新事業】
再生可能エネルギーでまちづくり
豊後大野市が再生可能エネルギーの地産地消による地域活性化事業に乗り出そうとしている。市が主導して地域新電力供給会社を設立し、市営の太陽光発電所、土地改良区の小水力発電所、誘致企業の木質バイオマス発電所などで得た電力と排熱を公共施設や市民に供給する事業。大都市などから元気なシニア世代を呼び込む「生涯活躍のまちづくり構想」の目玉にも位置付ける。
大分県内では市町村が主導して新電力供給会社を設立するのは異例。地域資源である再生可能エネルギーに着目した行政の取り組みが、地域経済の浮揚、人口減少の歯止めに成果を挙げられるか注目したい。
市によると、市内の主な再生可能エネルギーの発電施設は▽市営太陽光発電所5カ所▽土地改良区水力発電所4カ所▽木質バイオマス発電所1カ所。年間売電電力量は一般家庭約4万戸分に相当する。市内の世帯数は約1万6500戸であり、既にかなりの余剰電力がある計算になる。
木質バイオマス発電所「エフオン豊後大野発電所」(同市三重町)はバイオマス発電事業を展開するファーストエスコ(東京)グループが建設し、9月に完成。間伐材などの木材チップを燃料とし、森林整備や林業関係者の所得向上が期待される。発電量は一般家庭3万戸分という。
一方、市が負担する公共施設の電気料金は▽市庁舎▽市民病院▽エイトピアおおの(ホール)▽フレッシュランドみえ(体育施設)など合わせて年間約4億円。市は「地域内で発電した電力と金銭を地域内で循環させ、余剰電力を都市部に流す考え方が必要」とする。
計画では、新電力供給会社の資本金の55%を市が出資し、他は金融機関と地元民間企業から募る。当面は太陽光と小水力発電所の電力を売電、木質バイオマス発電所の排熱を周辺の農業用ハウスの加温などに利用する計画。
市は10月、日本初の自治体による電力売買事業会社を昨年3月に設立した福岡県みやま市と地域再生可能エネルギー活用に向けた連携協定を締結した。みやま市から新電力会社の設立・運営に関するノウハウ提供を受けるほか、将来的には電力の相互融通の道も探る。
市が新事業に乗り出す背景には、地方に共通した課題である人口減少がある。課題克服のために市が策定した総合戦略に「地産地消型エネルギーシステムの構築」「生涯活躍のまちづくり構想(豊後大野市版CCRC)の推進」を加えた。
市内には光ファイバーケーブル網が整備されており、電力使用量を示すスマートメーターを各戸に設置すれば、電力使用量の変化によって高齢者の安否の見守りも可能になる。小型の木質チップ燃焼施設の排熱を利用し、再生可能エネルギーの恩恵を受けられる住宅団地の造成も想定している。
橋本祐輔市長は「地域資源である食料自給率、エネルギー、高齢者ケアはいずれも自給できる。さらに観光をリンクさせ、地域資源活用による持続可能な自治体づくりを進めたい」としている。
今後は、木質バイオマス発電所の電力をどう取り込むかや、県内に豊富な竹材の燃料化システム構築などが課題となろう。