○豊後大野市手話言語条例
平成29年3月17日
条例第10号
豊後大野市で暮らしているろう者は、聴覚障害により全く聞こえないため、周りとの音声言語によるコミュニケーションや交流が非常に困難であり、また、聞こえる者も、ろう者のことを知る機会が少なかったことで、お互いが十分にわかり合うことができず、ろう者は、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。
手話は、ろう者の中で生まれ、大切に受け継がれてきた言語であり、手指や体、表情等で視覚的に表現する言語で、日本語とは異なる独自の体系をもっている。
そして、ろう者やろう者と関わる人たちは、手話が言語として広がり、市民が日常的に直接コミュニケーションするとともに、手話通訳などの情報保障によって、誰もが取り残されることのない社会になることを願ってきた。
私たちは、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において手話が言語として位置付けられたことで、手話を必要とする全ての人が、いつでも自由に手話を使える地域社会となるよう取り組まなければならない。
ここに、市民が、手話が言語であることを理解し、手話の広がりを実感することで、全ての人が社会参加できるこころ豊かな住みよい豊後大野市となることを目指してこの条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解並びに普及及び地域において手話を使用しやすい環境の構築等に関し、基本理念を定め、市及び市民の責務及び役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進することにより、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ろう者」とは、先天的に聴覚に障害があり、手話を母語(人が幼少期から自然に習得する言語をいう。)として日常生活を送る者をいう。
(基本理念)
第3条 ろう者が、自立した日常生活を営み、及び地域における社会参加をすることができ、全ての市民と相互に人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに共生することができる地域社会の実現を目指すものとする。
2 手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進と手話の普及を図り、手話でコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとする。
3 ろう者は、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の構築等に必要な施策を講ずるものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、地域社会で共に暮らす一員として、基本理念に対する理解を深め、市の施策に協力するよう努めるとともに、暮らしやすい地域社会の実現に寄与するよう努めるものとする。
2 ろう者は、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。
3 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(施策の策定等)
第6条 市は、次に掲げる施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策
(2) 市民が手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための施策
(3) 市民が意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境の構築のための施策
(4) 手話通訳者の配置の拡充及び処遇改善など、手話による意思疎通支援者のための施策
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
(財政措置)
第7条 市は、手話に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(補則)
第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成29年4月1日から施行する。