○豊後大野市救急業務規程
平成17年3月31日
消防本部訓令第10号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 救急隊(第3条―第8条)
第3章 救急自動車(第9条―第11条)
第4章 救急活動(第12条―第29条)
第5章 他機関との連携(第30条―第35条)
第6章 救急自動車の取扱い(第36条―第38条)
第7章 情報の収集と広報(第39条―第41条)
第8章 救急業務計画等(第42条・第43条)
第9章 証明(第44条―第48条)
第10章 雑則(第49条・第50条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)、消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「政令」という。)、救急救命士法(平成3年法律第36号)、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)、救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号)及び救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)の規定に基づき、救急業務の実施に関し必要な事項を定め、その能率的運営を図ることを目的とする。
(1) 救急業務 法に定める救急業務をいう。
(2) 救急活動 消防署において主として救急現場における活動をいう。
(3) 救急事故 法及び政令に定める救急活動の対象となる事故等をいう。
(4) 救急現場 救急業務の対象となる傷病者のある場所をいう。
(5) 救急自動車 政令の定める要件を備え、かつ、救急活動に必要な救急用資器材を有するものとする。
(6) 救急救命士 救急救命士法(平成3年法律第36号。以下「救命士法」という。)第2条第2項に規定する救急救命士をいう。
第2章 救急隊
(救急業務の管理責任)
第3条 消防長は、この訓令の定めるところにより、管轄区域の救急事情の実態を把握し、これに対応する救急行政の執行態勢の確立を図るとともに、消防署長(以下「署長」という。)以下を指揮監督して救急業務の運営の万全を期するものとする。
2 署長は、この訓令の定めるところにより、所属職員を指揮監督して、救急活動を適正に遂行するものとする。
3 消防長及び署長は、救急業務を効果的に運営し、及び執行するため救急業務に関係のある機関及び団体との連携を密にするものとする。
(救急隊の編成と選任)
第4条 救急隊は、救急自動車1台及び救急隊員(以下「隊員」という。)3人以上をもって編成する。
2 消防長は、次の各号のいずれかに該当する消防吏員のうちから隊員を選任するものとする。
(1) 救急業務に関する講習で総務省令で定めるものの課程を修了した者
(2) 救急業務に関し前号に掲げる者と同等以上の学識経験を有する者として総務省令で定める者
4 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うように努めなければならない。
5 隊員は、上司の命を受けて救急業務を的確に実施しなければならない。
(隊員の訓練)
第5条 消防長は、隊員に対し、救急業務を行うに必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うよう努めなければならない。
(隊員の服装及び心得)
第6条 隊員は、救急業務を行う場合は、感染防止衣又は救急服及びアポロキャップを着用するものとする。ただし、安全を確保するために必要があるときは保安帽を着用する。
2 隊員は、救急業務の特質性を自覚し、常に身体着衣の清潔保持に留意するとともに、傷病者等に対しては懇切丁寧を旨とし、不快な念を抱かせないよう言動に注意しなければならない。
3 隊員は、資器材の保全に留意するとともに、応急処置に際し誤りのないよう、常に救急技術の練磨に努めるものとする。
(応急救急隊)
第7条 応急救急隊は、救急警戒及び多数の傷病者が発生した場合に、その規模の救急活動に適する車両及び所要の人員をもって構成するものとする。
2 消防長は、救急事故の状況により特に必要があると認めるときは、消防隊に救急業務を行わせるため応急救急隊を編成し、出動を命ずることができる。
(救急隊への支援隊)
第8条 消防長は、救急現場において、安全で迅速な救急活動を図り、傷病者の容体悪化の軽減及び救命率の向上のため、必要に応じて支援隊を組織し出場させるものとする。
第3章 救急自動車
(救急自動車の要件)
第9条 救急自動車は、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に定める緊急自動車の基準に適合するものとする。
(救急自動車の標示)
第10条 救急自動車の側面、後部ドア及び天井には、消防本部名又は消防署名若しくは救急隊名を標示するものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第11条 救急自動車には、救急業務実施基準第14条に規定する資器材を備えるものとする。
2 署長は、救急資器材について保守管理を行うとともに、適正な管理に努めなければならない。
第4章 救急活動
(救急隊の出動)
第12条 消防長又は署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき、又は発生したことを知ったときは、当該救急事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。
(口頭指導)
第13条 消防長は、救急要請時に、指令室又は現場出動途上の救急自動車等から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するように努めるものとする。
2 前項の指導は、大分県救急搬送協議会が定める大分県(標準)救急活動プロトコール(以下「救急活動プロトコール」という。)に準じて行うものとする。
(現場指揮)
第14条 救急現場の指揮は隊長が行う。
2 救急隊が2隊以上出動した場合の現場指揮は、消防長又は署長が命じた者が行うものとする。
(救急活動の原則)
第15条 救急活動は、傷病者の救命保護を主眼とし、傷病者の観察等を行い、必要な応急処置を施した後、傷病者の症状に最も適した医療機関等に速やかに搬送することを原則とする。
(観察及び応急処置)
第16条 傷病者に対する観察及び応急処置は、救急隊員の行う応急処置等の基準並びに救急活動プロトコール及び大分県が定める傷病者の搬送及び受け入れ実施基準に基づき的確に行うものとする。
2 救急救命士が行う救急救命処置は、救命士法の定めるところにより行うものとする。
3 傷病者が医師の管理下にある場合においては、前項の規定にかかわらず、医師の指示に従い、応急処置を行うものとする。
(転院搬送)
第17条 現に医療機関にある傷病者の、他の医療機関への搬送(以下「転院搬送」という。)は、搬送元の医療機関の医師から転院搬送依頼書により要請があり、かつ搬送先医療機関が確保されている場合に行うものとする。
2 隊長は、前項の転院搬送を行うに当たって、傷病者を診療している医療機関の医師、看護師、准看護師又は救急救命士(以下「医師等」という。)の同乗を求めるものとする。ただし、医師が医師等の同乗による病状管理の必要がないと認めた場合は、当該医師から搬送途上における当該傷病者に対し必要な措置について指示を受け、搬送するものとする。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第18条 隊長は、傷病者又は関係者が搬送を拒んだ場合には、当該傷病者又は関係者に容体の急変等に関する注意事項を説明し、同意を得た上で、これを搬送しないものとする。ただし、傷病者の状態から判断して、特に搬送を要すると認めたときは、この限りでない。
2 隊長は、傷病者又は関係者が搬送されることを拒否した場合は、その理由、状況等必要な事項を具体的に救急出場記録票に記録し、当該傷病者又は関係者の署名を得るよう努めるものとする。
(搬送の制限)
第19条 隊長は、傷病者が、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該傷病者を搬送しないものとする。
(1) 傷病者が明らかに死亡している場合
(2) 医師が死亡していると診断した場合
(感染症と疑われる傷病者の取扱い)
第20条 隊長は、感染症等と疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員、救急自動車等の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、所要の措置を講ずるものとする。
2 消防長は、前項の医師の診断結果により傷病者が感染症患者であると判明した場合は、速やかに当該救急現場を管轄する保健所長に通報し、必要な指示を受けなければならない。
(酩酊者の取扱い)
第21条 隊長は、酩酊者が酩酊(急性アルコール中毒の症状と認められる場合を除く。)のみで他に傷病がないと判断した場合は、警察官又は関係者に保護を依頼し、これを搬送しないものとする。
(妨害等)
第22条 隊長は、救急活動中に第三者等からの妨害又は加害を受けたときは、直ちに署長及び警察機関に通報するとともに、被害の拡大防止に努め、隊員等の安全を確保しなければならない。
2 署長は、第三者等からの妨害又は加害の事実を確認したときは、速やかに消防長に報告するとともに、警察機関と密接な連絡を取り、厳正な措置を講ずるものとする。
(医師の要請)
第23条 隊長は、傷病者が次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場へ医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 搬送をすることが生命に危険であると認められる場合
(2) 搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救助に当たり医師を必要とする場合
(関係者の同乗)
第24条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、これに応ずるよう努めるものとする。
2 隊長は、前項のほか、特に必要があると認めるときは、保護者、警察官等関係者の同乗を求めるものとする。
(災害救助法における救助との関係)
第25条 当該消防機関が行う救急業務は、災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用される場合においては、同法の規定に基づく救助に協力する関係において実施するものとする。
(要保護者等の取扱い)
第26条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条各項に定める機関に通知するものとする。
(活動の記録)
第27条 隊長は、救急活動を終了し、帰署したときは、救急出場記録票及び救急救命処置録により、処置の概要を署長に報告しなければならない。
2 前項の救急出場記録票は、当該記録票を作成した日から10年間、これを保存しなければならない。
(家族への連絡)
第28条 隊員は、傷病者の状況により必要があると認めるときは、当該傷病者の家族に対して、傷病の程度及び搬送先医療機関等について、連絡するよう努めるものとする。
(医療機関への引継ぎ)
第29条 隊長は、医療機関に傷病者を引き継ぐときは、傷病者の状態、施した処置及び経過等必要な事項を医師に告げるとともに、医療機関収容書に傷病名、傷病程度等、診療結果についての所見及び医師(代理者を含む。)の署名を得るものとする。ただし、傷病名、傷病程度等についての所見が得られない場合は、署名のみにとどめ、事後に電話等により診療結果を聴取し、その旨を記録しておくものとする。
第5章 他機関との連携
(警察官との連携)
第30条 隊長は、交通事故及び犯罪事故等警察機関に関係ある救急事故等の救急業務の実施に当たって必要があると認められる場合は、速やかに救急事故発生地を所轄する警察署長に連絡し、活動に支障のない範囲で現場保存、通報等に留意し、捜査活動に協力するよう努めるものとする。
2 隊長は、傷病者が錯乱状態、酒気を帯びているため自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすと認められる場合は、警察官を要請し、当該警察官と協力して救急活動を行うものとする。
(現場付近にある者への協力の要請)
第31条 隊員は、事故現場付近にある者に対して協力を求めるに当たっては、協力者の安全の確保に留意するとともに、協力を得た場合は、当該協力者の住所、氏名等を聴取し、救急出場記録票に協力の概要を、記録しておくものとする。
(福祉事務所等への連絡等)
第32条 署長は、救急隊等によって医療機関へ搬送した傷病者が生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者又は要保護者と認められる場合は、当該救急現場を管轄する福祉事務所及び医療機関へ速やかに連絡するものとする。
(所持品の取扱い)
第33条 隊長は、傷病者の搬送に当たり、その所持品の取扱いについて十分に配慮し、傷病者が自己の所持品の管理ができない状態にある場合は、保護者、警察官、担当医師等に対してその所持品の保管を依頼するものとする。
(医療機関との連絡)
第34条 消防長は、救急業務の実施について、医療機関と常に密接な連絡をとるものとする。
2 消防長は、前項の規定に基づき知り得た医療機関における空床の状況等の情報について、必要に応じ、近接する他の消防本部の消防長と相互に情報を交換するように努めるものとする。
(団体等との連絡)
第35条 消防長は、管轄区域内で救急に関する事務を行っている団体等と救急業務の実施について情報を交換し、緊密な連絡をとるものとする。
第6章 救急自動車の取扱い
(消毒)
第36条 消防長は、次に定めるところにより、救急自動車及び資器材の消毒を行うものとする。
(1) 定期消毒 週1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
(消毒の標示)
第37条 消防長は、前条の規定による消毒をしたときは、消毒実施年月日、消毒方法、消毒薬品名、施行者名等を消毒実施表に記入し、救急自動車の見やすい場所に標示しておくものとする。
(薬剤管理)
第38条 消防長は、救急業務に使用する薬剤を適正に管理し、劇薬については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第48条の規定に基づき貯蔵するものとする。
第7章 情報の収集と広報
(情報の収集)
第39条 消防長は、救急業務に関する資料及び統計等情報の収集に努めるものとする。
(救急情報の提供)
第40条 消防長は、前条の規定により収集した情報に関し、住民及び医療機関等から求められたときは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に抵触しない範囲で当該情報の提供に努めるものとする。
(救急業務の適正利用の普及等)
第41条 消防長は、住民に対し、救急業務の理解及び適正な利用についての普及に努めなければならない。
2 消防長は、市民に対し応急手当等の知識の普及に努めるものとする。
第8章 救急業務計画等
(救急業務計画等)
第42条 消防長は、特殊な救急事故が発生した場合における救急業務の実施について、救急業務計画を作成しておくものとする。
2 消防長は、毎年1回以上、前項に定める計画に基づく訓練を行うものとする。
(救急調査)
第43条 消防長は、救急業務の円滑な実施を図るため、次に掲げる調査を行うものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 救急事故が発生するおそれのある対象物の位置及び構造
(3) 医療機関等の位置及びその他必要事項
(4) その他消防長が必要と認める事項
第9章 証明
(搬送証明書の交付)
第44条 救急搬送の証明を受けようとする者は、救急搬送証明願により消防長に申請するものとする。
2 前項の規定による申請をしようとする者が傷病者本人以外の場合は、本人の委任状の添付又は本人との親族関係を証する書類の提示若しくは提出を求めるものとする。
3 消防長は、第1項の規定による申請があったときは、申請内容を確認の上、救急搬送証明書を交付するものとする。
(特異救急事故の報告)
第45条 署長は、次に掲げる救急事故が発生したときは、直ちに、消防長に報告しなければならない。
(1) 死者5人以上の救急事故
(2) 死者及び傷病者の合計が15人(交通事故又は急病の場合にあっては30人)以上の救急事故
(3) その他社会的に影響度が高いと認められる救急事故
2 消防長は、前項の報告を受けたときは、火災・災害等即報要領について(昭和59年消防災第267号消防庁長官通知)に定める火災・災害即報要領の規定に基づき、災害即報を大分県知事に報告するものとする。
3 消防長は、消防庁長官から救急詳報による報告を求められたときは、救急事故等報告要領の全部改正について(昭和57年消防救第53号消防庁長官通知)に定める救急事故等報告要領の規定に基づき処理するものとする。
(職員の出頭)
第46条 署長は、職員が救急業務に関し官公署から出頭を求められ、職務上の秘密又は職務上知り得た秘密について証言するときは、消防長の決裁を得なければならない。
(文書送付の嘱託)
第47条 署長は、裁判所から救急業務に関する文書送付の嘱託を受け、送付するときは、消防長の決裁を得なければならない。
(救急業務に関する照会)
第48条 署長は、裁判所から救急業務について照会があったときは、消防長の決裁を得なければならない。
2 署長は、裁判所以外の官公署又は弁護士会から法的根拠を示して救急業務について照会があり回答するときは、消防長の決裁を得なければならない。
第10章 雑則
(指輪の離脱)
第49条 救急隊は、リングカッター等による指輪の離脱を求められたときは、誓約書に署名を得た後に行うものとする。
(その他)
第50条 この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成17年3月31日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の日の前日までに、解散前の大野郡東部消防組合救急業務規程(昭和52年大野郡東部消防組合規程第2号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされた手続その他の行為とみなす。
附則(平成18年10月10日消本訓令第3号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(平成19年3月28日消本訓令第1号)
この訓令は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成21年6月15日消本訓令第2号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(平成24年11月12日消本訓令第3号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(平成27年6月25日消本訓令第4号)
この訓令は、平成27年7月1日から施行する。
附則(令和2年4月20日消本訓令第2号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(令和3年3月30日消本訓令第1号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。